ケース別の売却方法

マンションの事故物件(心理的瑕疵)とは?告知義務・原因と売却方法

事故物件という言葉は広く知れ渡っており、多くの方が聞いたことはあるでしょう。

しかしながら、具体的にはどのような物件のことを事故物件と呼ぶのでしょうか。

事故物件(心理的瑕疵)とは

事故物件とは、何らかの理由で告知義務がある物件のことです。

厳密に言えば「心理的瑕疵(かし)」がある物件のことで、物件そのものに物理的な瑕疵(欠陥)がなくても、精神的に苦痛を伴う可能性がある場合も、すべて事故物件として扱われます。

物件検索サイトやチラシ広告などに「告知事項あり」と記載されていたら、事故物件である可能性が極めて高いです。

自殺や殺人事件などの死に関することだけでなく、劣悪な近隣環境が原因で、心理的瑕疵物件として扱われることもあります(後述)。

 

告知義務・期間

事故物件の場合、買主や借主にその内容を告知する義務があります。

物理的な瑕疵は現地内覧する際などに気付くことができますが(外壁のヒビや汚れ、雨漏れなど)、心理的瑕疵は一般的には外部の者が気付くことはできないため、不動産会社や大家から事実を包み隠すことなく、丁寧に説明することが求めらます。

しかしながら、法律でもガイドラインでも事故物件の告知義務については明確に定められていません。

「なにをどこまで」告知するかは曖昧であり、告知義務期間についても同様に不明確で「いつまで」告知するかについても、不動産会社の判断に任されてきました。

そのため不動産会社によっては1人目の入居者には話すようにしていたものの、2人目以降は何も告知せずに平然と物件案内するというケースもありました。

過去には、不動産会社の自社社員に1ヶ月だけ住んでもらって(入居者の1人目としてカウントし)、その後あたかも何もなかったかのように売買・賃貸に出すという話もあったようです。

現在では、法律的には決まっていませんが、一般的には10年くらい経てば心理的瑕疵も十分薄まっているだろうと考えられ、それ以降は告知しないことがほとんどです。

 

告知義務の原因:死

事故物件の明確な定義はありませんが、「死」に関する主な原因です。

事件・事故死

殺人事件や自殺、火災などによって死者が出た場合はほぼ間違いなく事故物件として扱われます。

事件や事故が原因の場合は、心理的瑕疵だけではなく、血痕や火災による物件自体が損傷していることも多く(物理的瑕疵)、大掛かりなリフォームを施すことがほとんどです。

テレビなどのニュースで報道され、事故物件であることが全国的に広く知れ渡ってしまう可能性が高いため、もっとも売却しにくい物件でもあります。

孤独死

高齢化が進み、自宅内で家族にも誰にも気付かれずに亡くなってしまい、数カ月後に発見されるというニュースも珍しくなくなりました。

こうした孤独死は事故物件として扱われることもあれば、そうでないこともあり、不動産会社の考え方によって様々です。

遺体の長期間放置だからこそ事故物件と考えられる一方、遅かれ早かれ人は誰でも死ぬのだから事故ではなくごく自然のこと(自然死)と考えられることもあります。

病死

孤独死同様、病死した後に遺体の発見が遅れた場合などには事故物件として扱われることがほとんどです。

遺体の腐敗が進むとともにシミや匂いが物件を損傷するばかりではなく、長期間遺体が部屋内に放置されていたことを考慮すると、精神的な苦痛(心理的瑕疵)に繋がると判断できます。

ただし、看取った家族がすぐに葬儀などを済ませていれば、事故物件として扱われないこともあります。

 

告知義務の原因:近隣環境

続いて、「近隣環境」による原因です。

部屋そのものは正常でも、近所に以下のような施設があると事故物件として扱われるケースがあります。

墓地・火葬場

物件周辺にお墓や火葬場がある場合は、心理的瑕疵に繋がると判断でき、告知義務が生じます。

ただし墓地や火葬場がある場合は、物件内覧の時点で気付けることも多く、あらたまって不動産会社から告知されないこともあります。

工場・ゴミ処理場

周辺に工場やゴミ処理場などがある場合も、告知義務があると言えます。

墓地などと違って、内覧時間帯によっては内覧者がその心理的瑕疵に気付けない可能性があります。

たとえば毎日特定の時間帯に、悪臭のする煙が排出されたり騒音がするなどです。

暴力団・宗教法人

近所に暴力団組織や、宗教法人の施設がある場合も告知義務があると言えます。

特に暴力団組織の施設の場合は、一般的な邸宅のような外観をしており判断が難しく、特に告知されることが望まれます。

その他

ラブホテルやキャバクラ、パチンコなどを嫌う方も少なくありません。

こうした施設が近所にある場合は、告知してあげることが親切です。

 

事故物件の売却方法

大幅値引きを覚悟

事故物件を売却する上では、まず相場より大幅に安く価格設定することを覚悟しなけばなりません。

当然のことですが、価格的な大きなメリットがなければ、買主は見つからずにいつまでも売却することはできません。

時期や状況によって変動しますが、事故物件の売却価格としては以下の程度とされています。

自然死 :相場の約10%割引

自殺  :相場の約20~30%割引

殺人事件:相場の約30~50%割引

上記は目安程度として参考にしてください。

事故物件はその内容によって大きく価格変動しますので、正確には不動産会社に相談し査定してもらう必要があります。

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更地にして売却

事故物件のままでは価格を下げても売却するのが難しいと判断した場合、更地にして売却するという選択肢もあります。

マンションの場合は不可能ですが、事故物件が戸建の場合は、建物を解体して更地にすることで、マイナスイメージを払拭することができます。

土地だけにして売却することだけでなく、駐車場に変えることで、さらに不動産価値を高めることができます。

しかしながら当然のことですが、解体費用には数百万円単位の資金が必要になってきますので、慎重な判断が必要です。

専任媒介契約で依頼

事故物件を売却する際は、専属専任媒介契約または専任媒介契約が適していると言えます。

複数会社に同時並行で契約できる一般媒介契約では、各不動産会社にとって大きなメリット(利益)が期待できないために、ただでさえ売却するのが難しい事故物件を熱心に販売活動してくれる可能性は低くなります。

そうではなく専属専任・専任媒介契約であれば、特定の1社に売却依頼をすることになりますが、その分依頼された不動産会社にとってもメリット大きく、事故物件だとしても誠意を持って取り扱ってくれることが期待できます。

また事故物件というデリケートな不動産であるために、不用意に情報拡散されてしまうことは売却において不利になります。

その意味からも複数社に依頼する一般媒介契約ではなく、特定の1社のみに依頼する専属専任・専任媒介契約が適しています。

トラブル防止

事故物件を売却する際は、のちのちのトラブル防止のために細心の注意が必要です。

売却価格を少しでも下げたくないがために、不動産会社に対しても購入希望者に対しても、事故物件の詳細内容を隠したくなる気持ちもあると思います。

しかし、必ずすべてを包み隠さず、曖昧にすることなく打ち明けてください。告知義務があります。

購入時に告知されていなかったことで、売却後に損害賠償として600万円請求されたケース、マンションそのものを丸ごと建て替えることになり、部分負担として1億2,000万円を請求されたケースもあります。

問われたら答えるのではなく、売主側から積極的に告知することで重要です。

また口頭での告知だけではなく書面での提示、売買契約時に必須となる「重要事項説明」に明記しておくことで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

 

まとめ

事故物件を売却することは簡単ではありません。

買う側の立場になって考えればわかることですが、事故物件の場合は「安さ」を求めるだけではなく、「どんな事故があったのか」「心理的瑕疵があるのか」を詳細に知りたがります。

確実に売却するためには、すべてを包み隠さずに公開し、誠実に告知することが重要です。

※追記】 将来的な売却を考えているので、マンションを一括査定してみたところ、業者によって600万円も差がありました。まずは客観的な価値(価格)を知ることから始めてみてください。

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