手数料・諸経費

マンション売却での仲介手数料「以外」の諸費用とは

不動産売却において仲介会社に依頼する場合は、仲介手数料が必要であることは解説いたしました。

しかし、残念ながらこれ以外にも支払うべき諸費用が存在するのです。

売買成立時にかかる費用

消費税

建物に対しての消費税

売主が不動産業者やディベロッパーなどの事業者である場合には、建物に消費税がかかってきます。

しかしながら売主が個人である場合は、非課税です。つまり消費税が免除されます。

ただし売主が個人であっても、テナント(商業ビル)や投資用マンションなどの不動産を売却する際は、消費税の課税対象になります。

つまり、「個人が居住用物件を売る」時のみ、消費税が免除されます。

仲介手数料に対しての消費税

不動産会社に支払う仲介手数料については、消費税が発生します。

これは売主が個人であろうと事業者であろうと関係なく、必ず支払わなくてはなりません。

消費税率は一般的な商品と同じで、仲介手数料に対して8%かかってきます(2019年10月より消費税10%になる予定)。

たとえば売却価格が3,000万円だった場合の仲介手数料上限額(税抜価格)は960,000円になりますが、消費税8%として76,800円が上乗せされますので、仲介手数料の総額(税込価格)は1,036,800円になります。

仲介手数料の計算方法などについては、以下記事で詳しくまとめています。

マンション売却での仲介手数料/金額や割引、支払タイミング

印紙税

不動産を売却する際は、売主と買主が売買契約を結びます。

売買契約書にかかる税金を収入印紙を貼ることで納税しますが、納税額(収入印紙額)は売却価格によって異なります。

なお売買契約書は売主/買主それぞれが1通ずつ保管することになっているので、通常であれば収入印紙も2枚必要になりますが、売買契約書原本をコピーしたものを売主が保管することで、収入印紙1枚分を節約することができます。

なお平成30年3月31日までの印紙税は、租税特別措置法第91条の特例により半額に軽減されています。

一般的な価格帯である1,000万円~5,000万円のマンションの場合、印紙税は10,000円です。

印紙税額表

売却価格 印紙税額 軽減税率適用額
100万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超~5億円以下 100,000円 50,000円

登録免許税(登記費用)

不動産の所有者が移る場合に「登録免許税」という税金が必要になります。

つまり売却が成立した際は、必然的に発生します。

所有権移転登記と呼ばれ、売主が負担するのが一般的ですが、売却額が高額な場合は買主が負担することもあります。

税率はその原因ごとに異なっており、以下の通りです。

所有権移転登記の原因 税率
売買 2%
相続 0.4%
その他 2%

売却においては2%が税率としてかかってきます。

※売却価格が3,000万円の場合、登録免許税は60万円

登記するには、司法書士へ依頼するのが一般的であり、その場合は司法書士への報酬(1~2万円前後)も必要になります。

繰り上げ返済手数料

売却金によって住宅ローンを繰り上げて返済する場合、手数料が発生することがあります。

無料であるケースもありますが、金融機関のHPで公開されていますので確認することが可能です。

抵当権抹消登記

そもそも抵当権とは、住宅ローンでお金を借りた際に、家や土地をその借金の担保として確保しておくものです。

わかりやすく言えば「住宅ローン払えなくなったら、その家や土地を取り上げるからね!」ということです。

抵当権がついたままの不動産は別の住宅ローンが使えない(つまり買主は現金一括で購入するしかない)など、不利な状況に置かれてしまうので、必ず抹消しておくようにしましょう。

登記費用(登録免許税)と同様に、司法書士へ依頼するのが一般的であり、おおよその費用は5,000円~2万円程度です。

 

売却後にかかる費用1.譲渡所得税

所得税(譲渡所得税)とは

不動産売却によって利益が発生した場合、納税義務が発生します。

言で簡単にいうと「不動産を売って、利益が出た際にかかる税金」のことです。

通常の所得(給与所得など)とは別に、臨時所得として税金を納めなければなりません。

また譲渡所得(売却で得た利益)に対して確定申告が必要であり、確定申告は毎年3月にしなければなりません。

その申告内容によって譲渡税額が決定します。

譲渡所得税の計算式

先に計算式を紹介すると、以下の通りです。

譲渡所得税=課税譲渡所得×譲渡所得税率

※課税譲渡所得=譲渡所得ー特別控除

※譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+売却費用)

となるのですが、一般素人には非常に理解が難しいのが本音のところです。

一般的には税理士などに依頼して納税手続きや確定申告をお願いするので、売却することになっても上記のような計算をあなたが理解しておかなくても問題ありません。

ただし、以下の注意ポイントだけは把握しておきましょう。

譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。

「5年」を境に大きく異なるので、売却検討をしている方は覚えておいてください。

名称 所有期間 税率
短期譲渡所得 5年以下 39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)
長期譲渡所得 5年超 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)

上記表の通り、5年を境に約20%も税率が変わってきます。不動産売却は高額になりますので、20%はとても大きな金額になります。

短期譲渡所得が長期に比べて2倍も税率が高いのは、短期間での土地転売(悪質な土地転がしなど)を防止するためとされています。

注意しておきたいのは、所有期間の「5年」の計算方法です。

譲渡所得税における所有期間とは、不動産の購入日から譲渡したまでの期間ではなく、「譲渡した年の1月1日まで」なのです。

たとえば2017年5月1日に不動産を購入し2022年6月に売却譲渡した場合、実質の所有期間は丸5年になりますが、「譲渡した年の1月1日まで」が所有期間になるので、2022年1月1日までが所有期間として計算されます。

つまりこの場合は、2017年5月1日~2022年1月1日までの4年8ヶ月が所有期間となり、短期譲渡所得として扱われてしまいます。

2023年の1月1日になってようやく所有期間が丸5年となり、長期譲渡所得として認められることになります。

この「5年」の考え方・計算方法を勘違いしてしまうと、無駄に高い税率で支払うことになる可能性もありますので、譲渡タイミングについては慎重に確認しておいてください。

3,000万円の特別控除

売却(譲渡)する不動産が居住用、つまりマイホームであれば、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。

条件は大きく以下の通りです。

  1. 自分が実際に住んでいた不動産であること(投資用マンションなどはNG)
  2. 売手と買手の関係が、親子や親族などの特別な間柄ではない
  3. 売却した年を遡って2年間に、この特例またはその他の特例を受けていない

簡単にいうと「売却で得た利益の3,000万円まではなかったことにしてあげるよ!」ということです。

たとえば5年以上所有していたマイホームを売却したところ、4,000万円の利益が出たとします。

この場合は長期譲渡所得として扱われますので、本来であれば利益4,000万円に対して譲渡所得税が20.315%かかってきます。

しかしながらこの特別控除のおかげで3,000万円までは控除されますので、課税対象額は1,000万円(=4,000万円ー3,000万円)となり、この1,000万円に対して20.315%の税金がかかってきます。

特別控除の有無 売却利益 課税対象額 税額
特別控除なし 4,000万円 4,000万円 812.6万円
特別控除あり 4,000万円 1,000万円 203.15万円

上記の通り、特別控除の有無によって600万円以上も負担税額が変わってきます。

この3,000万円特別控除を受けるためには確定申告が必要ですので、漏れなく必ず申請するようにしてください。

売却後にかかる費用2.固定資産税

不動産売却後に払う税金として、固定資産税も必要です。

不動産売却後、すぐに支払わなければならない税金ではありませんが、固定資産税も支払う義務のある税金です。

1月1日時点の不動産所有者に対して課税されますので、通常であれば売主が納税者になります。

売主と買主で日割り計算して税負担することが一般的ですので、売主がまるまる1年分を支払うということはまずありません。

固定資産税は1月1日時点での不動産所有者に対して課せられますので、売却後に所有権が移ったとしても、売主がその年の納税義務者となります。

とは言うものの、通常は売却日を起点に、売主と買主で日割り計算に基づいた税額をそれぞれ負担します。

たとえば1月2日が売却日(引渡し日)の場合、売主は1日分の、買主は364日分の固定資産税を負担するという考え方です。

このような両者による負担の場合でも、納税義務者は売主のままですので、買主が負担額を売主に支払い、売主がまとめて納税します。

例)5月31日付けで引渡し(売却完了)、年税額15万円の場合

【1日あたりの税額】
約411円(=15万円÷365日)

【売主の負担額】
1月1日~5月31日=150日
150日×411円=61,650円

【買主の負担額】
6月1日~12月31日=215日
215日×411円=88,365円

※端数省略、目安額です。

固定資産税については、以下で詳しく解説しています。

固定資産税と都市計画税~税率や免税措置~

 

その他の費用

引越し費用

当たり前のことですが、住んでいる家を売却するなら、引越しが必要になってきます。

自分の家ではなく、相続によって得た不動産を売却するのであれば、もちろん引越し費用はかかりません(引越す必要はないのですから)。

引越し費用をできるだけ抑える方法は、複数業者から相見積もりをとっておくことです。

リフォーム費用

高値で家を売却するために、多少の費用をかけリフォームするという考え方もあります。

トイレやお風呂などの水まわり、クロス(壁紙)、耐震補強をすることで、100万円単位で売却額が上がることも期待できます。

我が家マンションのリフォーム記事一覧へ

ハウスクリーニング費用

リフォーム同様に、高値で売却するために業者に依頼して、プロのハウスクリ―ニングをする選択肢もあります。

どこをどの程度クリーニングするかにもよりますが、特に汚れやすいお風呂・洗面所・トイレ・キッチンのみであれば5万円~15万円程度です。床やベランダなどその他全体もクリーニングする場合は、総額で10~50万円前後の範囲であることが一般的です。

しかしながらリフォームとは違い、クリーニングは自分でもできなくはないので、時間と体力に余裕があれば自分でやってしまっても良いでしょう。

各書類の作成費用

不動産売却においては、さまざまな書類が必要になります。(必要書類一覧はこちらのページでまとめてます)

建築確認済証や土地測量図、境界確認書、耐震診断報告書などの書類がない場合は、売却において不利になってしまいます。

不利になるということは、高値で売れないことを意味します。

専門業者に測量や診断をしてもらうことで、これらの書類を作成・用意することができますが、当然のことながら業者に依頼することで費用が発生します。

 

まとめ

不動産売却において、仲介手数料が発生することはよく知られていますが、それ以外に上記のような諸費用がかかります。

できるだけ多くのお金を手元に残すには、1円でも高い値段で売り、無駄出費を抑えることです。

「思っていたよりも全然手元に残らない!」

と落胆することがないよう、どのような諸費用が発生するのかを大雑把にでも把握しておきましょう。

※追記】 将来的な売却を考えているので、マンションを一括査定してみたところ、業者によって600万円も差がありました。まずは客観的な価値(価格)を知ることから始めてみてください。

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